トヨタ財団の助成によるプロジェクト活動の始動

世界の保健医療アクセス事情

みんなの外国人ネットワーク(MINNA)は、トヨタ財団の助成(2020年度助成特定課題  「外国人材の受け入れと日本社会」)を受けて、「新型コロナウイルス感染症パンデミック下における在日外国人コミュニティへの情報提供体制整備と検査・診療へのアクセスを可能にする道筋づくり(Supporting migrant communities in accessing information and developing pathways for testing, diagnosis and treatment of COVID-19)」と題したプロジェクト活動を開始しました。助成期間は、2021年5月1日から2023年4月30日までです。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延は、技能実習生や留学生等の外国人が公衆衛生上の危機に対して脆弱な状況にあることを露呈させました。私たちは、2020年前半から後半にかけて、ベトナム、ミャンマー、ネパール人コミュニティの方々や、様々な分野で外国人の支援に携わる方々からお話を伺いました。その結果、以下のような課題があることを学びました。

 

1)COVID-19で生活困窮、密集生活を余儀なくされている

勤務先の業績低下等により、解雇されるケースが多い。収入減により、集団で狭い部屋に暮らす密集生活を余儀なくされている。また、ビザの有効期間が切れても、COVID-19による出入国の制限のために母国に帰ることができず、生活が困窮するケースもある。

2)必要な情報が届かず、相談機関にたどり着けない

各外国人コミュニティには様々なサブコミュニティがあり、母国語による情報の流れは必ずしもスムーズではない。主な情報源はFacebook(FB)で、公的機関やNPOの公式ホームページを見ることは稀であり、インターネット接続手段すら持たない人もいる。各コミュニティの行動・生活様式に適した感染予防と有症状時対応、及び安心してコンタクトできる外国人相談についての情報が外国人にも周囲の日本人にも届いていない。また、症状がある時等にどうしたらよいかわからない人が多い。とくに健康保険や在留資格に問題あると、有症状・濃厚接触者でも医療機関の受診ができないと考え、誰にも相談できない。技能実習生の場合も、強制帰国を恐れて症状があっても相談できないことがある。

3)相談機関から保健所・医療機関へつながらない

COVID-19感染が疑われる外国人が相談窓口にたどり着いても、そこから保健所・医療機関につながれない事例も多い。健康不安で相談窓口を訪れる人々は、在留資格・健康保険・雇用・住居・生活・食事・うつ・DV等、様々な問題を複合的に抱えていることが多く、通訳以外のサポートが必要である。相談窓口から保健所・医療機関へつながるには、関連部署や団体や個人の間で緊密なネットワークが不可欠だが、関係者間の情報共有の場が乏しく、連携基盤が弱い。

4)医療機関につながっても受診できないことがある

医療機関にたどり着いても、日本語が話せないという理由により受付で断られるなど、適用可能な行政検査や無料低額診療等の制度を職員が知らないため、門前払いとなるケースも多い。

プロジェクトの目標

こうした課題に対応するために、本プロジェクトでは、以下のような状況が実現することを目指して、様々な活動を行っていきます。

1)各外国人コミュニティに、その行動様式・生活状況に適した感染予防と有症状時対応、及び安心してコンタクトできる外国人相談について情報が届くようになる。

2)外国人相談から保健所・医療機関の行政検査につながる道筋が明確化され都市部及び外国人材集住地域において体制が整備される。

3)外国人材が、外国人相談を経て保健所・医療機関の行政検査と必要な診療につながる道筋の必要性が広く認識され、散住地域での体制整備に向けた機運が形成される。併せて、自治体を始め、外国人を雇用する企業や商工会、日本語ボランティアを始めとする地域組織、さらには地方大学などのステークホルダーの連携が強まる。

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