【新連載スタート】「在日外国人問題を知るためのブックガイド」

ブックガイド
2020年当初の段階で、日本の人口に占める外国人の割合は3%、およそ300万人でした。この300万人は全国に均等に存在するわけではないので、ほとんどの日本人にとっては日常的に出会う人の100人のうち3人が必ず外国人というわけではありません。しかし、都会のコンビニや居酒屋などの店員さんの半分以上が外国人、という状況に私たちは慣れ始めています。でもこんな事態は10年前はまだ想像もできなかったのではないでしょうか。 しかし、都会に住む人が気が付かないうちに、10年以上前から地方の水産加工工場や野菜農家などでは、外国人の技能実習生なしには事業が継続できない事態は忍び寄っていたのです。 そして、コロナ騒ぎが下火になれば、また外国人労働者を必要とする経済活動が再開し、これまで以上に私たち日本人が日常生活で外国人労働者と遭遇する機会は増えていくでしょう。こうした外国人労働者は慣れない日本語を学び、日本での生活のルールを身に付けようと苦労しています。翻って日本人の方は、彼らの言葉や彼らの文化を理解しようとしているでしょうか。日常生活で接する外国人が増えても、なかなかあらたまって外国人の事を理解する機会はないものです。それに、一口に外国人と言っても、私たちにとって歴史的なつながりの深い中国や韓国からきている人、1980-90年代のバブル期に中南米からやってきた日系人の人たち、そして今「ニューカマー」と呼ばれている東南アジア・南アジアからの人びとなど多様です。現在急激に存在感を増しているのがこの東南アジア・南アジアからの人びとで、こうした人々が置かれている状況について、私たちはあまり知識がありません。 しかし、特に地方自治体の役場や出先機関(外国人相談窓口など)の窓口では、こうした人たちの法律相談、保健医療問題、子弟の教育問題、雇用先でのトラブルなど、さまざまな課題に直面している担当者も増えています。こうした状況を踏まえて2019年頃から「外国人労働者」「移民」問題を扱う書籍も増えてきました。ところが、今度はあまりにいろいろな書籍があるために、「どの本を読めばいいのか」わからない状態になりつつあります。そこで、本コーナーでは、様々な「外国人問題」「移民問題」に関するブックガイドをしてみたいと思います。主として2017年以降に出版された本の中から毎回1-2冊を選んで、内容をかいつまんでご紹介し、どのようなニーズを持つ人に適した本なのかをお示しできればと思います。皆さんの在日外国人理解の一助となれば幸いです。 佐藤寛(アジア経済研究所)

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