開催報告:「10/26(水)@JICA関西+オンライン開催 「在住外国人に向けた効果的な情報発信方法と今後の課題」@JICA関西

外国人が受診できる道筋を整えよう

2022年10月26日(水)13:30〜15:15

場所:JICA関西2階オリエンテーションルーム、オンライン

MINNAが、各地域の実情と取り組みを学び、地域と地域との橋渡しをしながら新たな協力関係を見つけ出す「地域連携セミナーシリーズ」第二弾です。今回は、神戸にあるJICA関西との共同主催と、兵庫県国際交流協会の共催で実現しました。COVID-19のパンデミックから見えてきた今後の課題について、兵庫県を中心とした関西地域で議論できたことは、私たちにとっても大きな財産となりました。

セミナー参加者は、対面9名、オンライン42名で、関西地域の市区町役所の担当部署、外国人支援グループや当時者グループ、大学等の方々でした。

「外国人の周りにいる日本人に振り向いてもらうために何ができるのか」(MINNA/アジア経済研究所 佐藤寛)

私たちMINNNAは、日本にいる外国人を支援している人たちとの情報交換を重ね、また外国人へのワクチン接種問題に取り組む中で、対話的情報発信の有用性に気づきました。また、外国人労働者が「社会的再生産」を行う場としての地域社会の重要性にも気づきましたが、外国人支援の窓口機能が期待される自治体の施策には大きなばらつきがあることも明らかになってきました。また、一口に外国人労働者と言っても、移民コミュニティには多様性があること(同じ国の出身者であってもひとくくりにできないこと)にも理解を深めてきました。外国人労働者は今後も増加することが予想されますが、日本の外国人材を取り巻く環境は制度のみならず、「外国人の周りにいる日本人」の対応も含めてまだまだ外国人フレンドリーではありません。そこで「周りにいる日本人」への情報提供の一環として、日本全国の外国人労働者に対する取り組み等をまとめた全国47都道府県プロファイルが紹介されました。この中に、外国人労働者を受け入れる日本人のリテラシー(基礎知識と思いやり)の向上に向けたいくつかの取り組みを見つけることができます。これらの取り組みからわかるのは、やはり外国人の周りにいる日本人が、非常に重要なアクターであることです。では、私たち日本人は何ができるのか。既に支援をしている人も、まだ何をしたらよいかわかっていない人も含めて、まずはお互いにできることを開示し合うことが大切で、そうした場を広げていくことが必要だと考えます。

「MINNAの試行錯誤から見えてきたこと」(MINNA/国立国際医療研究センター 岩本あづさ・須藤恭子、NPO法人 国際活動市民中心(CINGA)青柳りつ子さん)

様々な試行錯誤の末、コミュニティ最大のFacebookにたどり着き多くの外国人に情報を届けることができた一方で、サイトはあっても外国人コミュニティのインフルエンサーや日本人支援者とのつながりなくして、情報発信ツールとしての活用ができないことを学んできました。また、外国人が相談窓口に来ても保健医療にたどり着くには多くの障壁があり、情報を多言語化し、事例検討会を開催し、その道筋を太くする取り組みを行ってきました。NPO法人 国際活動市民中心(CINGA)と協力した「外国人コロナワクチン相談センター(COVIC)」は、外国人への直接支援の活動です。COVICで相談を行ったCINGAの青柳りつ子さんは、ワクチン接種を希望しても接種券が発行されない外国人に対して、多様な対応をとる自治体に連絡して根拠を示しながら説明し、当事者の身近にいる国際交流協会等のサポートをとりつけて接種券発行につなげた等の活動成果を紹介くださいました。2022年11月末には、「日本ではたらくベトナム人のための健康ハンドブック」が発刊されました。これは、日本に最も多くの労働者を送るベトナムのMigrant Health Working Groupにより構想されIOMベトナムの委託事業として行われました。ハンドブック作成から、労働者の受け入れ側、送り出し側双方が移民労働者への正しい認識や新たな視点を共有できました。また、日本にいる外国人支援専門家や産業衛生や精神保健の専門医等と共同執筆する機会となり、MINNAが専門家同士をつなぐ役割を担いました。ハンドブックは、外国人だけでなく外国人の周りにいる日本人に活用を広げ、活動の重要なツールとなっていきます。

「~JP-MIRAIの取組~」(JICA 宍戸健一さん)

JP-MIRAI から責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(Japan Platform for Migrant Workers towards Inclusive Society)についてお話をいただきました。JP-MIRAIは、日本国内の外国人労働者の課題解決に向けて、2020年に民間企業・自治体・NPO・学識者・弁護士など多様なステークホルダーが集まり設立された任意団体で、JICAがその中心的役割を担っています。JP-MIRAIが目指すのは、SDGsや国連ビジネスと人権に関する指導原則などにおける外国人労働者の権利保護や労働環境・生活環境の改善に真摯に取り組み、責任をもって外国人労働者を受入れ「選ばれる日本」となること、外国人労働者が安心して働き生活できるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事、より具体的には、自由、公平、安全と人間としての尊厳を条件とした全ての人のための生産的な仕事)の実現を通じて、包摂的な経済成長と持続的な社会です。外国人労働者への情報発信のためのアプリ(JP-MIRAIポータル)、ポータルを使って相談できる相談窓口(JP-MIRAIアシスト)、日本人と外国人双方のコミュニケーションツール(JP-MIRAIフレンズ)が紹介されました。

質疑応答では、在留資格とCOVID-19 ワクチン接種券の発行に関する確認、大使館等他の関係機関との連携、医療通訳に関する質問等がありました。また、情報発信の難しさについては、日々外国人の生活を支える参加者からも共感をいただきました。外国人のワクチン接種については、厚生労働省からの事務連絡があっても、接種券発行は自治体によって対応に違いがあることや、大使館の対応も多様であることなどの情報を共有することができました。今回、参加者同士の交流の時間を十分とることができなかったことは反省点ですが、居住地や勤務地といったより身近な地域内にいる同じような思いを持った人たちを知る機会になったのではないかと思っています。MINNAは、これからも外国人をサポートする多様なアクターをつなげていくことで、いざというときの大きなパワーを生み出すことを期待しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました